企業型確定拠出年金で選べる制度設計
少子高齢化が進行し、2019年に話題となった「老後資金2,000万円問題」に表されているように、公的年金以外での老後資産の形成が現代に生きる私たちの大きな課題となっています。
企業としても、人材獲得のために退職金制度の見直しや福利厚生の充実などを通じて、魅力的な職場をどうやって作り上げていくのか?という課題に直面していることでしょう。
そんな中で近年注目を集めているのが「企業型確定拠出年金(企業型DC)」です。
企業型DCは企業の状況に応じて柔軟な制度設計が可能な制度です。
どのような制度設計がなされているのか?今回は4つのタイプをご紹介します。
制度設計4つのタイプ
企業型DCの制度設計は、主に4つのタイプに分類できます。
- 選択制
- 給与に上乗せして支給
- マッチング拠出
- 併用制
それぞれ解説していきます。
選択制
企業型DCの制度設計の中では最もシンプルな任意加入の制度設計です。給与の一部を従業員が企業型DCの掛金として拠出するかどうかを選ぶことができる制度となっています。
こんな要望に応えられます!
- 新しく掛金を負担することは難しいが、確定拠出年金を導入したい
- 社会保険料の負担軽減を会社の負担を抑えつつ行いたい
給与に上乗せして支給
給与体系は変えずに、DCの掛金を従業員の給与に上乗せして支給する制度設計です。昇給する形とは異なり、上乗せして拠出した掛金は損金として扱うことができるため、社会保険の負担の対象となりません。
また、掛金を退職金として拠出する場合、掛金は退職給付債務の計上が不要となります。
こんな要望に応えられます!
- 退職金制度として企業型DCを導入したい
- 現行の退職金制度から企業型DCに移行させたい
- 退職金債務の負担が大きいので、財務上の負担を軽減したい
マッチング拠出
DCの掛金を従業員の給与に上乗せして支給した上で、その掛金と同じ金額を上限として従業員自身の所得から上乗せして拠出(マッチング拠出)することが可能な制度設計です。
マッチング拠出分の掛金は社会保険料算定の対象となりますが、全額所得控除の対象となるため、所得税、住民税の対象外となります。
こんな要望に応えられます!
- 更に従業員が老後の資産形成を行う手助けとなる制度設計としたい
- 税制上のメリットを最大化できる制度にしたい
併用制
選択制から更に給与に上乗せして支給する制度設計です。事業主の支給分、従業員が選択して拠出する掛金のどちらも社会保険料かつ非課税です。
マッチング拠出の場合、事業主の支給する掛金が少額であれば月間の最大掛金額である55,000円の拠出ができませんが、こちらの制度設計では従業員の意志により55,000円の拠出が可能な設計にできます。
こんな要望に応えられます!
- 更に従業員が老後の資産形成を行う手助けとなる制度設計としたい
- 会社が掛金の負担をあまりできなくても、従業員の意志により最大限積み立てが行える制度としたい。